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9月11日 もう一つの9.11 サルバドール・アジェンデ最後の演説 [世界の動き]

 9月11日、この日について多くの人は、2001年9月11日のアメリカへの同時多発テロ事件を思い起こす事でしょう。この事件では3025人の方が犠牲になったと言います。今年はこの事件の12周年です。これら犠牲者の方々に改めて冥福を祈ると共に、残されたご家族、ご友人の方々にお悔やみを申し上げたい。またマイケル・ムーア監督の映画「シッコ」に描かれていたように、危険の伴う貿易センタービルでの救助作業にボランティアで駆けつけ、肺疾患など様々な疾患をおった方々もいらっしゃいます。そうした方々の勇気に感嘆すると共に、一日も早い回復を祈っております。

 さて、9.11はもう一つあるのです。それは、1973年の9月11日のことでした。場所は南米のチリ、合法的な選挙で選ばれたサルバドール・アジェンデ大統領が、アメリカのCIAに援助されたアウグスト・ピノチェト将軍の クーデターで「殺された」日なのです。

  チリでは人民連合(ウニダード・ポプラール)にチリ社会党やチリ共産党が結集し、国民のための政治をと戦っていたのでした。幾度かの浮沈のあと、1970年、アジェンデが大統領に当選します。しかし、それを嫌ったアメリカの後押しでピノチェト将軍のクーデターで、世界で初めての選挙による民主的革命を押しつぶしてしまったのです。

 国際社会(この語を私は安倍さんとは別の意味で使います)は、抗議の声をあげ、特に映画では「サンチャゴに雨が降る」がフランス、ブルガリアの合作で製作されました。「男と女」「暗殺の森」のジャン・ルイ・トランティニアン(最近では「愛、アモール」)や、アニー・ジラルドなどの俳優、音楽はアルゼンチンのアストル・ピアソラ等、錚々たる芸術家たちが、無償でこの映画製作に参加したのでした。
 他に、アメリカ映画「ミッシング」が作られています。実話に基づく作品だと言います。ジャーナリストの息子がクーデターのさなかにあるチリで行方不明となり、心配した父親(ジャック・レモン)が捜索に乗り出すと、そこにはCIAと思しき連中が。といった作品です。監督は「Z」「戒厳令」のコスタ・ガブラスです。これも必見の映画!

 さて、今までアジェンデの死は「自殺のよる」とされてきました。 大統領府であるモネダ宮を圧倒的なクーデター軍の攻撃を悲観して、と言う事でしょうか? しかし、数年前から、チリではクーデター犠牲者の死について検証が始まっており、アジェンデ大統領についても、クーデター軍の銃弾によるものではないか、と検証が進んでいます。ですから私は冒頭で「殺された」と書いたのです。

 このクーデター中に、チリ共産党員でノーベル賞詩人、パリ大使を務めていたパブロ・ネルーダもなくなります。当初病死とされてきましたが、毒殺の疑いあり、との事で現在調査が始められています。

 今、アメリカによるシリア攻撃が画策されています。安倍首相はこれに無批判に追随しています。何の道理もなく、一握りの個人や企業の利益の為に、アジェンデは殺されました。同時多発テロの犠牲者も正義も道理もない理由で、殺されましたが、すべては繋がっています。殺されるのは、何の罪も無い庶民であること、その庶民のための政治を実現しようとする、高貴な政治家に対しては、法を無視しても排除する、こうしたことが今日本で進行しています。それに抗議する上でも、次のサルバドール・アジェンデの最後の演説を紹介したいのです。如何に彼が高貴な政治家であったかを。

 

 

 


世界12月号 [世界の動き]

昨日、ひょんな事で雑誌「世界」を買いました。世界12月号の表紙が目に飛び込んで来たのです。特集として「世界恐慌は回避出来るか」となっていましたが、どちらかというと「陸山会事件判決を問う」に興味を持ったのです。何しろ分厚い雑誌で陸山会はまだ読んでいません。目次をめくると「ウォール街を占拠せよ」とあります。ジャーナリスト、ナオミ・クラインさんの、行動に立ち上がった人々に対する集会での激励の挨拶でした。内容は今日の格差社会を作ったたった1%たったの人たちに対する抗議と、99%の人々が立ち上がればより良い世界が切り開かれること、又今回の運動が深い基盤に立脚しており、容易に収束しないであろうこと、しかしながら注意深く運動を継続することを呼びかけています。

マイケル・ムーア監督が映画「キャピタリズム」の最後で「私一人で戦うのはもう限界だ。皆立ち上がれ」と呼びかけたのが2009年末でした。それから2年、ナオミ・クラインさんもこうした運動が2008年にイタリアで、それがギリシャ、フランス、アイルランドに飛び火し、ついに危機が始まった大元の場所に戻ってきた、と述べています。 世界の人々の大きなうねりが感じられます。

この翻訳を読みながら、(翻訳にもかかわらず)何と説得力に富んでいることだろうと思うと共に、惹きつけて止まないリズムを持っていることに気づきました。ついつい峠三吉さんの詩「人間を返せ」を思い出した次第です。このブログを訪れた方にも是非読んで欲しいと思います。

この12月号には他にも八ツ場ダムについてや沖縄密約について澤地久枝さんの文章も載っています。両方ともマスメディアでは報道が少なくなっているし、とりわけテレビでは深層まで突っ込んだ論評がありません。こうした雑誌で情報を補い、自分の意見を持つことが大切と感じた次第です。


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