2月11日 労働経済白書2012年版 [経済]
先日、経済再生、景気回復のためには、内需を拡大するため勤労者所得を増やすことが必要と書きました。実はこのこと、雑誌「経済」の記事でさらに確信しました。論文中に厚生労働省の「労働経済白書2012年版」の次の文章が引用されていたのです。 そこでそのまま紹介します。
(引用開始)
「バブル崩壊後の雇用者所得の減少の最大の要因は、非正規雇用者の増加であった。長引く低成長や国際競争の激化に伴う企業のコスト削減及び弾力化のニーズにより相対的に賃金の低く雇用調整が容易な非正規雇用者が趨勢的に増加してきたと考えられる。
しかしながら、相対的に賃金水準の低い非正規雇用者の増加は、雇用者所得の低下を通じて消費を押し下げる大きな要因となっていることも認識する必要があるだろう。すなわち、人件費の削減が所得の減少を通じた消費の伸び悩みにつながっており、コストを削減したらモノが売れなくなったという、いわば「合成の誤謬」が発生しているものと考えられる。
経済成長は短期的には需要、長期的には供給で決定されると言われ、経済を考える際には需給両面を考慮する必要があるが、短期的な需要の低迷がさまざまな形で長期的な供給面へも悪影響を及ぼし、潜在成長率及び実現された成長を下方屈折させた可能性があるのではないだろうか。
逆に、賃金の引き上げは消費の拡大を通じて、経済全体にもプラスの影響があることを社会全体で認識すべきである。消費については、世帯数の増加や金融資産が所得の減少と比較して消費水準を下支えしていた面があるが、やはり最も大きな要因は所得の増加である。
また、非正規雇用者でも約半数は主たる生計者として家計を支えるようになっており、その割合も傾向的に上昇している。常用雇用的に働く非正規雇用者も増加しており、非正規雇用者は家計補助的な働き方が中心という時代から変わりつつある。これらの労働者が一定水準以上の生活を送ることができる社会を目指すべきである。
労働者の意欲と能力を十分に発揮できるためにも、個人が多様な就業形態を自ら選択できるような社会を目指すべきであるが、多様な就業形態が進む中でも、正社員を希望する非正規雇用者が2割以上存在し、こうした者が正社員になれる道を大きくしていく必要もある。」(労働経済白書2012年版 193ページ)
(引用終了)
このように、厚生労働省自身が雇用者所得を上げることを主張し、非正規雇用をなくすとまでは言っていませんが、希望するものには正社員への道を開くよう提言しています。政府も財界も、その気が無いようですが、このままでは国内需要が冷え込んだまま、思い切った金融緩和といっても設備投資や雇用が増えることは考えにくいですよね。
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