中川弘先生の資本論講座 [資本論番外編]

 この1月から東京学習会議主催の資本論講座が、講師に元福島大学副学長の中川弘先生を迎えて開かれています。既に4回の講座で第一編「商品と貨幣」を終了し、5回目は第二編が始まる予定です。当初、分かり易いと評判だった講座も、前回の感想では、皆苦戦しているようです。「わからないところが、わからない」と。

 そこで今の私としては、大変であってももう一度、原書と講座のレジュメを始めから読み返すこと、今後の読み方としても、講義予定の予習・復習をすることと共に、取り組んでいる部分と、その前の部分の脈絡を確認していくことが大切と思われます。

資本論講座レジュメ集.jpg
これが中川先生が準備してくれた講義レジュメ集ですが、第一編までの4回分です。本文は全74頁。
他に講義の度に講義資料・追録が渡され、質問に対する答えや、用語解説、講義の補足などが記載されます。
先生の並々ならぬ意気込みが伺えます。

 そこで、この番外編では講義レジュメ集に沿って書いてみます。
 まずは資本論の研究対象と研究目的の再確認です。それは資本論第一版の序文にあります。すなわち「私がこの著作で研究しなければならないのは、資本主義的生産様式と、これに照応する生産諸関係および交易諸関係である」と言うことです。ここで確認しなければならないことは、商業資本や高利貸し資本が存在した前近代(封建性)ではなく、近代的な産業資本が生まれ、商品生産が全面的に行われ、数千、数万、数億の商品交換が日常的に行われる資本主義社会を研究対象にしていることです。前近代の商業資本や高利貸し資本は現物経済に寄生する資本でしかなく、社会を覆い尽くすことは出来ませんでした。ここにこそ、資本論冒頭に「商品」分析をおいた意義があるものと思います。
 次に研究目的ですが、これも第一版序文にあります。「近代社会の経済的運動法則を暴露することがこの著作の最終目的である」とマルクスは述べています。第一章「商品」でも「運動法則」を導き出そうとしているように読めます。商品交換の背後にある使用価値と価値を導き、多様な側面を微に入り細に入り説明して、ついには商品交換という運動に論理的な根拠を与えています。これは又私の雑学趣味を呼び起こします。鳥の羽根はご存知のように、湾曲しています。そしてその羽根を構成する一枚一枚の羽もそのように湾曲しているのです。一枚の羽では鳥は飛べませんが、それが何枚も集まった羽根で鳥は飛べるのです。「資本論の目的」は、感性的には何の変哲もない商品とその生産の中に隠されている、ということでしょう。

 ですから「なにごとも始めが難しい」のですが、私は今まで述べてきたこと、つまり講座で学んだことを今後も腹に据えておけば、乗り越えられると思っています。

 今回の番外編の最後ですが、講座が資本論の新書版を利用しているので、私もそれに従います。 又今回はレジュメの表紙を紹介しましたが、実は第一編、商品と貨幣の理解にとって非常に役に立つ図を中川先生が作ってくれています。番外編の次回で画像で紹介しようと思います。

 資本論本文の読解は、現在ノートパソコンで書いているところです。いつも長い文章になっていますが、何回も書き直しをするハメになっています。一両日中にはアップするつもりです。

 


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