5月5日 マルクスの誕生日 何たる難しさ! [日常]

今日5月5日は、カール・マルクスの誕生日です。言わずと知れた「資本論」の著者です。1818年5月5日生、1883年3月14日没。満64歳の波乱の生涯でした。

それにしても第一章第三節、価値形態または交換価値が、まだ書き終わらないのです。そこで横道にそれて、講座の中川先生が紹介した下さった、劇作家の宮沢章夫さんの本、「資本論も読む」を手に取ると、面白い文章がありました。雑誌連載を文庫化した本で、その第二回、「なんだこれは」とマルクスは驚いた、という文章です。第一回に引き続き、資本論にはなんでこんなに「序文」が多いのか、マルクスは何故「序文」を書かずにはいられなかったのか、そもそも読む必要があるのかという疑問を受けての文章です。

引用すると
「マルクスは(序文を)書かずにいられなかった。つまり「述作の趣旨」だ。 だから「第一版序文」の冒頭近くにはこうあるだろう。「なにごとも初めが困難だということは、どの科学の場合にも言えることである。それゆえ、第一章、ことに商品の分析を含む節の理解は、最大の困難となるであろう」・・中略・・第一章、商品の分析に於ける難解さにマルクス自身が危惧を抱いている証ではないか。。べつにマルクスは難解な論理の組立によって衒学的になにか表現しようとしていたわけではけっしてない。そうとしか書けなかった。結果的にそうなった。・・中略・・書き上げたものを見て思わずこんなことを口にしていたのではないか。「なんだこれは」! 
だから「序文」を書かずにはいられなかったのだと。 この「資本論も読む」は資本論の読解には役に立ちません。しかし、宮沢さんの文章からは一人の劇作家が何故資本論に惹かれるのか、一つの経済学書を越えた魅力が潜んでいることを随所で伝えています。是非御一読を!

それにしても価値形態論、何たる難しさでしょう。仕事の最中にも、時々考えたり、他のホームページにあたったりしているのですが、自分なりの理解に達する事ができていません。それでも「簡単な価値表現」の相対的価値形態の内実までは書き終えましたので、近々アップしようと思っています。またまた節の途中でのアップです。

話は変わりますが、あと数時間で日本のすべての原発が停止します。大手メディアがそろって国民の反原発運動を報道しないなか、国民の大きな行動が再稼働を阻止しています。明日6日にも杉並でまた大きなデモがあります。TPPや消費税の増税も予断は許しませんが、まだまだ紆余曲折がありそうです。

それにしても今の野田内閣はひどい、これを見ているとマルクスの言葉はまだ当たらないと思わざるを得ません。
資本論第二版後記「この一般的恐慌は、まだ前段階にあるとは言え、再び進行しつつあり、その舞台の全面性によっても、その作用の強さによっても、新しい神聖プロイセンードイツ帝国の成り上がり者たちの頭にさえ弁証法をたたきこむであろう。」


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コメント 2

青麦1号

その年で資本論に取り組むとはすごい! 資本論から見るマルクスって完璧に理論構築をしていて、ひとつ疑問を出すと、くどいくらい解説、分析をしてもういい!って言いたい位話すイメージがあり、個人的にはお付き合いはしたくない感じがありますね。
by 青麦1号 (2012-05-21 13:55) 

メタボ親父

青麦1号様
お褒めの言葉? 有難う御座います。
そうですね! マルクスは書いているその節で、漏らしてはならないと、彼が考えている側面を微に入り細に入り、すべて書いている気がします。それに今苦労している第一章の商品、特に価値形態論は第一節、第二節を下敷きにしながら二つの商品の関係性を扱っているので、気が狂うほど難しいし、なかなか自分なりの納得が得られません。受講している講座ではその先に行っていますが、ぐっと易しくなってきます。私にとってはミクロ経済学、マクロ経済学より易しいと言えます。基礎から順々に説明されているからです。
資本論の魅力は、内容と共にマルクスの教養の深さにあります。聖書やシェークスピアの引用もありますが、なにより自分に先行した経済学者、アダム・スミス、デビッド・リカードに対する批判と共に評価した態度には、学ぶものがありますね。とくにまだ先のことになりますが、ケネーの経済表に対しては「これこそ本当の天才の仕事だ」と絶賛しています。
更新の遅い我がブログですが、励ましを頂けるとほんとにありがたい。又お越し下さいね!
by メタボ親父 (2012-05-24 00:39) 

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