3月22日 資本論第一章第四節 商品の物神的性格とその秘密 [資本論]

 お断り:この投稿は今後も書き換えが発生しますので、ご承知置きください。
と書いたように、全面的に書き換えました。(3月31日)

 はじめに
 第四節、商品の物神的性格とその秘密は、第一章、商品を締め括る節になっています。マルクスはこれまで、商品を分析的に考察し、①使用価値、価値を持つこと、②労働の二重性、③商品相互の対峙の中から貨幣が生まれることを明らかにしてきました。この節では、それらを手掛かりとし、商品の物神性という切り口から、商品生産社会の特殊歴史性を暴きだします。
 商品の奇妙さは、これまでの各節でも仄めかされています。それらを簡単に振り返ってみましょう。また、この節の難しさは、今までの節とは違い、経済的な関係が人間の意識、認識にどのように反映するかを扱っていることにあります。

第一節 商品の二要因
 「資本主義的生産様式が支配している諸社会の富は、『商品の巨大な集まり』として現れ、個々の商品はその富の要素形態として現れる」として、商品の二要因、使用価値と交換価値を示し、交換価値からその本質である価値を導き出しました。
 さらに使用価値は「富の素材的な担い手」であると同時に「交換価値の素材的担い手」であると述べています。
第二節 商品に表わされる労働の二重性
 第一節で明らかにした使用価値と価値を形成する労働に二重性があること、使用価値を形成する具体的有用労働、価値を形成する抽象的人間労働を明らかにしました。また、価値は人間労働の同等性を表しますから、それは労働の継続時間で測られることも明らかにしました。
 また「自律的な、互いに独立の、私的労働の生産物だけが、互いに商品として相対するのである。」(P72ー6)として、後に展開される背景を述べています。
第三節 価値形態または交換価値
 ここでは、まず二つの商品を対置させ、貨幣が生まれる仕組みを考察しました。最終的に「貨幣」として出現する価値形態は価値の現象形態であり、貨幣の生まれる論理的な必然性を明らかにしました。
 またこの節には、次のような重要な内容が、奇妙でもある内容が含まれています。次の通り、
 20エレのリンネル=1着の上着という等式の価値関係ですが、これは以下の事を表しています。①人間労働の同等性、②労働の継続時間がその支出の尺度、③人間相互の労働の社会的性格、です。また次の事も表わしています。相対的価値形態であるリンネルは、①現物形態とは違う価値形態を得ています。②特定の大きさを持つものとして、上着によって量的に計測されうることとなっています。投下形態である上着は①使用価値がその反対物である価値の現象形態となっており、②具体的な労働がその反対物である抽象的人間労働となっており、さらに③私的労働がその反対物である社会的労働になっている、ということです。
 このように、第四節でさらに吟味されるべき内容が、前節において提示されていました。

 それらを踏まえての第四節ですが、大まかに次のような順序で考察が進められます。
①商品の奇妙さを示す
②商品の奇妙さの原因を商品形態に求め、これを「物神性」と名付けると共に、「入れ替わり」がどのように生ずるかを明らかにする。
③「入れ替わり」の固定化、それを分析する人間の側の考察との関係を示し、古典派経済学の転倒性を示す
④商品生産は特殊歴史的なものである事を示し、それが消滅すれば「物神性」は消滅すること
⑤総括、及び再度の経済学批判

次回より、以上の視点にたって、各段落毎に読解を書いてゆく事にします。

以上

 

 


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